企業が全国転勤をさせるワケ【共働き夫婦が転勤について考える】

札幌から埼玉への転勤 ポジティブ2拠点生活

こんにちはばうむです。前回は妻との出会いをご紹介しました。

今回は、嫁が単身赴任(北海道から埼玉)になり「転勤てなんだろうなあ」「企業はなぜ従業員に転勤をさせるんだろうなあ」を「第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部」が2017年に発表している「共働き社会における転勤のあり方」(以下「転勤のあり方」)を参考にしながら、多くの人が経験しているであろう「転勤」について考えたいと思います。

※出典元はこちら。共働き社会における転勤のあり方 (dlri.co.jp)

女性の社会進出は進んでいるのか

「転勤のあり方」によると、2010年~2014年では「女性の就業率:81%」、「第一子出産前後の妻の就業率:53.1%」となっており、多くの女性が就業しているかつ妊娠・出産というライフイベントを超えても半分以上の人が継続して働くことができているとのこと。

現に私の会社や友人の状況をみても、新卒採用時点での女性の数が増えて行っており、就業規則や価値観が整ってきていることから産休・育休明けでも問題なく復職するのが当たり前になっている感じがします。もちろん出産を機に専業主婦やパートに切り替えた同僚もいますが、選択肢としての「復職」の難易度は昭和世代に比べれば格段に下がっているのではないでしょうか。

女性の退職の理由は?

「転勤のあり方」では「妊娠・出産を機に退職した理由」も調査されています。

上位は「家事・育児に専念するため、自発的に辞めた」(29.0%)「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両方の難しさで辞めた(就業を継続するための制度がなかった場合を含む)」(25.2%)となっており、家事・育児が大きな理由になっていることがわかります。男性が家事・育児に参画※するようになれば、この退職理由の割合も減っていくんでしょうね。※そもそも「参画」とか「手伝い」とかではなく「当たり前に一緒にやること」になればいいんでしょうが。。ばうむの実家は父が当たり前に家事をやっていたので男性の家事・育児に違和感がありません。

その他、「夫の勤務地や夫の転勤の問題で仕事を続けるのが難しかった」が1割程度いるのも注目です。

転勤がある企業はどのくらいあるのか

「転勤のあり方」によると、6割以上の企業で正社員に転勤の可能性があるとのこと。私の勤める会社でも入社から10年で2回異動のタイミングが確定のジョブローテーション制度があり、ローテーションが明けたあとは2年~長い人で10年くらいスパンで異動(転勤含む)があります。

なのでジョブローテーションのタイミングで結婚をしたり、ローテーション明けに家を買ったりと、従業員のライフプランに大きな影響を与えています。

最近では、転勤で地方配属になってしばらくしたら転職して辞めてしまう20代30代が増えてきている気がしています。コロナ禍で面接もオンラインが当たり前になったことで、転職市場での人材の流動性が格段に高まったことや若い世代が昭和的な考え方に疑問を持つようになっているも一つの要因かなと感じます。

いったい何のために企業は転勤をさせるのか

私も2020年に東京勤務から札幌勤務になり、前述のジョブローテーション明けでの配属なので「お前もういらないよ~」とならなければだいたい6年くらいは札幌勤務と思っています。

「転勤のあり方」に出てくるアンケートでは、「転勤は家族に与える負担が大きい」と男女ともに8割以上の方が回答しています。また、「できれば転勤したくない」が男女ともに4割という結果でした。(←思ったより少なく驚きました)

ワークライフバランスの充実が叫ばれる中、企業もこれまで通りに転勤をさせることに難しさを感じているようですが、なぜ「転勤」という仕組みが継続しているのでしょうか。

「転勤のあり方」によると企業の目的として

  • 社員の人材育成:66.4%
  • 社員の処遇、適材適所(への配置):57.1%
  • 組織運営上の人事ローテーションの結果:53.4%
  • 組織の活性化、社員への刺激:50.6%
  • 事業拡大、新拠点立ち上げに伴う欠員補充:42.9%

が挙げられています。

さらに転勤命令の決定方法は

  • 転勤命令は会社主導ですべて決められている(「Aに近い」「ややAに近い」):79.7%
  • 転勤命令は社員の意見・希望を踏まえて決められている(「Bに近い」「ややBに近い」):19.4%

と、目的も含めて会社主導でほぼ会社主導で決定されていることがわかります。

もちろん会社員は組織の一部でしかないので会社の目的達成のためには当然指示に従うものという考えも理解していますが、毎年順番に一定数を人事異動させることの意味はどれくらいあるのだろうと疑問に思います。一人転勤させるのに数十万単位の経費がかかるのに。。

これからの転勤のあり方とは

転勤は、日本全国だったり全世界に展開している企業では経営上仕方がないことなので、今後もなくなることはないと思います。しかしながら「転勤のあり方」でも触れられているとおり「働き方改革」や「男性の育児参画」「女性の社会進出」などが強く求められるいま、転勤のあり方を見直す時期に来ていると思います。

「転勤のあり方」では今後企業は転勤制度に関して以下の対応等が必要になるだろうとしています。

  • 転勤の必要性を熟考し、転勤を極力絞り込む
  • 人材育成の方法を転勤以外の方法で代替する
  • 従業員のキャリア形成についての意向をより深く考慮する
  • 日常のコミュニケーションから従業員のキャリアプラン、ライフデザインを共有する

私の会社でも半期に一度上司との面談がありますが、形式的に半期に一度行うのではなく、日常的にコミュニケーションをとって(雑談でも1on1ミーティングでも)人事異動に各人の意向を反映させていかないと従業員と会社の思いのミスマッチが起きてしまうと思います。

新型コロナウイルスの影響で日本企業もzoom等を活用したリモートワークやリモート会議が普及したことにより、出張や集合型の会議の多くが不要であったということに気づいたと思います。若手社員の中には会社のお偉いさんの無駄な出張がなくなったことを喜んでいる人も多いと思います。今後は地方営業所などの存在意義も見直されるかもしれません。

共働きのばうむ家の今後について

実際に転勤をしてみると「現在の部署に自分が来た理由はなんなのか」「別に自分が来る必要はないのではないか」と思うこともあります。確かに北海道に来たことで、関東の都市部とはまた違った文化や考え方や生活様式に触れることができ、考え方の幅が広がったなとは思いますが、転居を伴って6年以上もいると考えると少し長いなと考えてしまいます。

現在は子供もいないので、嫁の会社の帰省旅費制度で毎月会えますし、そこまで問題はありません。ただ、今後のライフイベントの際には様々な不便が起きてくると思うので、転職や休職・退職なども選択肢に入れなくてはいけなくなるでしょう。

新型コロナウイルスは多くの人を悲しませていますが、典型的な日本企業でも在宅勤務やテレワークを導入する起爆剤になったという面もあります。さらに働き方が柔軟になって、ライフイベントでキャリアが中断しない世の中になることを祈ります。

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